OKX Pay:スマートアカウント、ステーブルコイン基盤、注目ポイント
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OKX はメインアプリ内に用意されたスマートアカウント型モード OKX Pay で、消費者向け決済への展開を静かに進めています。本稿は、プロダクトの概要、動作、利用するレール、コンプライアンス環境、デューデリジェンスで押さえたい論点を研究者目線で整理したブリーフィングです。
TL;DR
- 概要: KYC 済みユーザーが USDC と USDT を ユーザー手数料ゼロ で送受信できる セルフカストディ風の決済モード。ポリゴン CDK を基盤とする OKX の Layer2 X Layer 上で動作し、スマートコントラクト型「スマートアカウント」 と パスキー を用いながら、オンチェーン操作には OKX の 共同署名 が必要です。
- 現状のスコープ: 連絡先やギフト、支払いリンク経由の 消費者向け P2P・ソーシャル決済 が中心。加盟店向け利用は OKX の明示的な許可がない限り禁止されており、商用展開は今後登場する OKX Card と Mastercard のステーブルコイン機能 を通じて拡大すると見られます。
- レールと資産: Pay のデフォルトは X Layer(ガスは OKB)。Convert to Pay で Ethereum、TRON、Arbitrum、Base、Avalanche、Optimism から X Layer 上の USDC/USDT に資産を移動できます。
- コストとリワード: X Layer 上の P2P 送金は 手数料無料 をうたう一方、外部チェーンからのコンバートでは元チェーンのガス代が発生。ステーブルコイン残高は 日次で利息が計上され月次で支払われるリワード を獲得可能ですが、利率は地域で異なり、OKX はプログラムを停止・変更できます。
- 提供範囲とリスク: 利用には OKX アカウントと KYC が必須で、全ての地域で提供されているわけではありません。2025 年 2 月の 米国での AML 有罪答弁 により、OKX は 2027 年まで独立モニターの監督下に置かれており、米国向け戦略では重要なコンプライアンスリスクです。
プロダクト概要
ユーザーフロー
- モバイルアプリを Pay モード に切り替え、氏名・電話・メール・QR コード・支払いリンク で送金。未受領の支払いは 48 時間 後に自動返金されます。
- Convert to Pay は複数の EVM/ TRON ネットワークから X Layer のステーブルコインへ資産を移す機能。X Layer 内で完結するコンバートは OKX がガス代を負担します。