Sui 上の Seal: オンチェーンで制御できるプログラマブルなシークレットレイヤー
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パブリックブロックチェーンは、すべての参加者に同期された監査可能な元帳を提供しますが、同時にデータをデフォルトで公開します。2025 年 9 月 3 日に Sui Mainnet で稼働を開始した Seal は、オンチェーンのポリシーロジックと分散型キー管理を組み合わせることで、どのペイロードを誰が復号できるかを開発者が細かく制御できるようにします。
TL;DR
- 概要: Seal は、Sui スマートコントラクトがオンチェーンで復号ポリシーを強制し、クライアントはアイデンティティベース暗号(IBE)でデータを暗号化し、しきい値キーサーバーから鍵を取得できるようにするシークレット管理ネットワークです。
- 重要な理由: 独自バックエンドやブラックボックスなオフチェーンスクリプトを作るのではなく、プライバシーとアクセス制御を一級の Move プリミティブとして扱えます。暗号文はどこにでも保存でき(Walrus との組み合わせが自然) 、誰が読むかを制御し続けられます。
- 想定ユーザー: トークンゲートされたコンテンツ、タイムロック公開、プライベートメッセージング、ポリシー対応 AI エージェントを構築するチームは、Seal の SDK を組み込むだけで暗号の下回りではなくプロダクトロジックに集中できます。
ポリシーロジックは Move に記述
Seal のパッケージには seal_approve* という Move 関数が用意されており、特定のアイデンティティ文字列に対して誰がどの条件で鍵を要求できるかを定義します。ポリシーには NFT 所有、許可リスト、タイムロック、独自のロールシステムを組み合わせられます。ユーザーやエージェントが復号を要求すると、キーサーバーは Sui フルノードの状態を参照してポリシーを評価し、チェーンが承認した場合にのみ応答します。
アクセスルールはパッケージ内のオンチェーンコードとして存在するため、透明で監査可能、かつ他のスマートコントラクトコードと同じようにバージョン管理できます。ガバナンスの更新も、コミュニティレビューとオンチェーン履歴を伴いながら、通常の Move アップグレードと同様に展開できます。